保健師 Q & A
保健師に関してよくある質問に岩手県立大学看護学部出身の保健師が回答します。
Q.県保健師のやりがいについて
A.県で働く保健師の大きな役割は、地域のコーディネーター役であることです。
住民の健康的な暮らしを支える上で、地域が持っている力(地域資源)を最大限に引き出し、つなげていくことが重要だと考えています。地域は、様々な機関や団体が連携することで支援の輪が広がっていくものであり、県の保健師として、市町村内外問わず広い範囲でコーディネートし、これを作り上げていくことがやりがいだと感じています。
また、県で働く保健所保健師の特徴的な業務といえば、健康危機管理の対応です。聞きなれない言葉だと思いますが、住民の命や健康が脅かされる事態となったとき(例:新型コロナウイルス感染症の蔓延や災害など)に、危機管理の主体として対策を講じ、最前線で対応に当たります。大変な業務であるとは感じますが、その責任や使命感もまた、やりがいの一つだと思っています。
12期生 米澤 依莉
Q.市町村保健師のやりがいについて
A.私が思う市町村保健師のやりがいは、住民と一緒に「健康」について考えたり、行動に起こして形にすることができるところです。すごく抽象的な言い方ですが、「健康づくり」って簡単ですが奥が深いです。個別に支援する健康づくりもあれば、地域全体で取り組む健康づくりもあります。保健師だからこそ、その「健康づくり」に関われるところがとってもやりがいがあります。また、人とのつながりの多い仕事ですので、「おかげさまで元気になったよ」などの声をかけられると仕事へのやりがいを感じます。
保健師は、仕事で実現できることの範囲が広く、自分の力で切り拓いていくことができます。広い分野を学ぶことができ、健康に関するスペシャリストになれる魅力のある仕事だと感じています。
15期生 川原 恭一
Q.事業所・健診機関で行う産業保健師のやりがいを教えてください。
A.私たち産業保健師は、産業医と協働し、事業所が労働者の安全と健康を守り職場環境を整えるための助言や、労働者の健康を保持増進し仕事と私生活を両立するための支援など、事業所・労働者両方を対象にした健康課題解決に向けた支援を日々行っています。
労働者や事業所の健康課題の解決は、事業所全体の活性化につながります。
私たちの活動はすぐに成果が出るものではありません。しかし、健康管理のための支援方法を検討・実践し、事業所や労働者と一緒になって経年的な結果を評価が出来る、とても一体感のある活動です。
2期生 千葉 千佳子
Q.就職試験はいつからどのような準備をしましたか。また、それに伴うアドバイスがあれば教えてください。
A.大学3年生の秋頃から、就職活動について先生方・先輩方に相談していました。具体的に動き出したのは大学3年生の2月で、大学のキャリアセンターで初回相談をしました。僕が就職試験を受けた市町村は5月、県は7月に一次試験があったので、それぞれの2週間前から一般教養(国数英理社)の勉強をして、面接試験の1週間前にはキャリアセンターで面接練習をしていただきました。一般教養の試験対策は、書店で購入したテキストを使用しました。
2月 キャリアセンター初回相談
5月 一般教養の勉強、一次試験(市町村)
6月 面接練習、二次試験(市町村)
7月 一般教養の勉強・小論文試験対策、一次試験(県)、三次試験(市町村)
8月 面接練習、二次試験(県)
後輩のみなさんへのアドバイスとしては、大学のキャリアセンターや先生方に早めに相談することをお勧めします。保健師の就職試験が行われる時期には、総合実習や卒業研究があるため、大学の勉強と就職活動を並行して進める形となります。ですので、「実習のせいで試験対策が十分にできなかった」「受験しようと思っていた市町村が既に締め切りとなっていた」とならないよう、早めに相談し、スケジュール管理をしていくことが重要になります。大学の先生方、キャリアセンターの職員の方は、親身に相談に応じてくださるので、たくさん相談しながら頑張ってください。応援しています!
20期生 松原 悠
Q.看護師を経験してから行政保健師になったほうがいいのでしょうか。
A.いいえ。そのようなことはありません。
もちろん、看護師の経験や社会人としての経験が保健師の仕事に役立つ場面はあります。しかし、看護師にも専門性があるように、行政で働く保健師にも専門性があります。保健師には、一人一人を支援する知識や技術はもちろんのこと、グループや地域全体(環境を含む)を支援する能力が求められるため、看護学校を卒業してすぐに保健師になり、これらの能力を早期から養うことは非常に大きなメリットがあります。岩手県で働いている保健師の皆さんからも同様の声が聞かれています。保健師として活躍するキャリア形成について一緒に考えていきましょう。
9期生 尾無 徹
Q.岩手県立大学で学び、岩手県で働くことの強み、良さって何ですか?
A.県内各地で卒業生が活躍されているので、「県大卒」という共通点から幅広い世代とつながれることが大きなメリットであると思います。
私の場合は、働きたい市町村に卒業生が在籍していたので、学生のうちからキャリアセンターを通して連絡を取り、お話を聞かせていただくことができました。学生時代からの友人やサークルの先輩・後輩など、顔の分かる同年代の卒業生が保健師として各地域にいることも、とても心強く感じます。今後、万が一災害などが起こった場合にも、この「顔の見える関係」が役に立つのではないかと思います。
また、大学の授業や実習、ボランティア活動を通して、学生のうちから県内の保健や医療の現場に触れることができます。地域で働いている自分の姿をイメージしやすく、入職してからもベースとなる知識がある状態からスタートできる強みがあると思います。
Q.保健学科目を勉強して楽しいと感じたことは何ですか?
A.楽しかったことは、実習した市町村の健康課題を抽出し、それに対する健康教育を自分たちで考え、実践できたことです。
正しいことを教科書通りにお伝えするのではなく、地域や住民の方の実情に合わせて実践するというところに面白さを感じました。また、実習で乳幼児健康診査を見学し、実際にお母さんやお子さんたちと触れ合えたことは貴重な経験になりました。
保健師専攻は看護師の勉強に加えて保健師の勉強や演習、実習に取り組まなくてはいけないため少し大変と感じることもあります。ですが、就職後の自分の保健師の姿をイメージしながら取り組めるため、やりがいを感じることができます。
21期生 山本 真白